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中耳炎

中耳炎とは何でしょうか?

言葉の通り鼓膜の奥の中耳に炎症が起こった状態をいいます。

中耳に急性の細菌感染を起こして膿がたまると耳痛、発熱、耳漏を起こす急性中耳炎になります。

急性の炎症が治まって中耳のなかに膿でなくどろっとした滲出液が溜まる状態を滲出性中耳炎といい、耳がつまったり聞こえにくいという症状が起こります。

正常な鼓膜
右鼓膜正常所見

右鼓膜正常所見

これが正常鼓膜の写真です。真珠のような色と光沢をしています。この奥にある空間が中耳です。

中耳について
中耳について

これは耳の縦の断面図です。

耳介から鼓膜までを外耳、鼓膜から奥の空洞の部屋になった部分を中耳、骨の中にある部分を内耳といいます。

この鼓膜の奥の空洞になった部屋を中耳と呼びます。中耳に炎症が起こった状態が中耳炎です。

急性中耳炎

急性中耳炎の症状は中耳に細菌が感染するので痛くなって、熱が出て鼓膜が破れると耳だれが出ます。 他にも頭痛や吐き気を起こすことがあります。

左急性中耳炎

左急性中耳炎

急性中耳炎の鼓膜です。鼓膜が赤く腫れています。

中耳炎の原因

なぜ中耳炎になるのか?

◆中耳炎の感染経路
→経耳管逆行性
→血行性(結核性中耳炎)
右経外耳道性(外傷性鼓膜穿孔に伴う
◆経耳管逆行性感染がもっとも多い
◆2歳から5歳に多い
◆1歳以下の急性中耳炎は治りにくい

中耳に細菌が入り込んで起こるのですが細菌が入り込む経路は

  1. 逆向性:中耳から鼻に抜ける排水と換気の耳管というパイプから鼻水が逆流。
  2. 血行性:敗血症、髄膜炎、肺炎など他の場所からの細菌が血液を介して中耳に入る。
  3. 経鼓膜性:鼓膜が破れて外界から細菌が入る。耳かきで破ったりした場合


以上の3つです。
このうちもっとも多いのが1の耳管からの逆流です。
2歳から5歳の間は耳管の構造上逆流が起きやすく急性中耳炎になりやすい年齢です。

また、1歳以下では免疫が未熟できわめて治りにくく急性中耳炎が2、3ヶ月起こり続ける反復性中耳炎を起こすことがあります。平成22年から接種可能になった小児用髄膜炎用の肺炎球菌ワクチンが難治性の急性中耳炎の予防に有効です。

乳幼児と成人の耳管の構造
乳幼児と成人の耳管の構造

乳幼児と成人の耳管の構造

乳幼児では耳管が水平で、太く短いため鼻から鼻水や細菌が逆流しやすく、軟骨が柔らかくつぶれやすいために逆流した液体を排出しにくいので急性中耳炎になりやすいのです。成人では耳管が急角度で細長いため逆流しにくく、軟骨がしっかりしてつぶれにくいので逆流した液体を排出しやすく中耳炎になりにくくなります。

耳管の構造が大人の形になる7~8歳で中耳炎にかからなくなってきます。

治りにくい中耳炎の原因

中耳炎は耳管からの逆向性感染が主な原因ですから鼻水が出る状態なら風邪でもアレルギー性鼻炎でも起こります。
また、年齢、環境、生活習慣の影響も大きく中耳炎がかかりやすく治りにくくなる要因としては

  1. 乳幼児で免疫が未熟(1歳以下)
  2. 保育所でつねに風邪を感染
  3. タバコの副流煙で鼻、気道の障害を受ける(家族内に喫煙者がいる)
  4. 寝ころんで飲食し耳管に鼻水やミルクが逆流する。


以上の4点です。

中耳炎の治療
軽度:抗生剤を投与せず自然治癒をまつ。
鼻水を止めたり切れやすくなる薬で治療
中等度:抗生剤を投与して治療 内服、耳だれが出ていれば抗生剤点耳薬
高度:
鼓膜切開、鼓膜穿刺、抗生剤投与(内服、点耳)
鼓膜切開の適応

当院では鼓膜切開を次の3つがそろっている場合に行います。

  1. 38度以上の発熱
  2. 鼓膜が発赤、腫れ上がってまだ破れていない、破れていても不十分で排膿できてない
  3. 耳痛が激しく機嫌が悪い

鼓膜切開後の注意
耳漏血が混じっていますが心配ありません。外側に出た分だけ拭き取ってください。
飲食笑気麻酔すると吐き気が出ますから30分くらいしてから
お風呂
当日だけやめてください。
シャンプー
OKですが耳に水が入らないように。
点耳薬が処方されたとき1日2回体温程度に手で握って暖めて3~5滴入れて5分後に頭を傾けて出し拭き取ってください。
通院について

耳だれが出ていなければ処方した薬が切れる3日から1週間おきに治るまで通院
耳だれが出ていれば出ている間、毎日耳掃除に通院
鼓膜切開した後は耳だれが出るので止まるまでは毎日通院です。

急性中耳炎の経過について
発病後1~2日→耳痛い・発熱
約1週間耳漏
約1ヶ月間
滲性中耳炎、難聴、耳の閉塞感

急性で耳の痛みがひどい状態は1~2日で治まります。
耳だれは自然に鼓膜が破れて出た物でも鼓膜切開した後から出た物でも約1週間で出なくなります。
耳だれが止まったときは鼓膜の穴が閉じて中耳の中に水が溜まった状態になります。
この状態を滲出性中耳炎といいます。約1ヶ月続いて中の水が抜けて元通り空気だけのきれいな状態になれば治癒です。

滲出性中耳炎

急性中耳炎は治る途中に膿が引いて鼻水のような液が溜まる滲出性中耳炎になり、その滲出液がきれいに抜けて空気が戻ってきて治癒します。

滲出性中耳炎の症状は、痛みはありませんが聞こえにくく耳がつまった感じがあります。

滲出性中耳炎

滲出性中耳炎

滲出性中耳炎の鼓膜はこの写真のようにへこんで中耳内に黄色い液体が見えます。

ティンパノグラム

ティンパノグラム

鼓膜を押したり引いたり圧力をかけて鼓膜の動く体積を見るティンパノグラムという検査で調べると滲出性中耳炎は全く動いていないことで診断できます。

滲出性中耳炎の治療
◆中耳炎の感染経路:抗生剤、抗アレルギー剤
◆耳管通気ガッコウ、耳管カテーテル
◆鼓膜穿刺
鼓膜切開
鼓膜チューブ留置術
◆プールで潜水、飛行機はだめ
ガムをかむ:耳管を開閉する筋肉の運動

滲出性中耳炎の治療は鼻水が逆流して起こるわけですから、最初は抗生剤や抗アレルギー剤で膿状の鼻漏を透明にし、その後にその鼻水を止めて逆流しないようにします。

また、ポリツェル球という風船でガッコウといわせた時に空気を送り込んだり、耳管カテーテルを用いて空気を中耳内に入れて滲出液を押し出す通気療法、注射針で鼓膜に穴を開けて滲出液を吸い出す鼓膜穿刺、メスで切開する鼓膜切開があります。鼓膜切開を繰り返しても治癒しない時は鼓膜が閉じないように換気と排水を行うチューブを入れる鼓膜チューブ留置術などです。耳や鼻に圧がかかると鼻水が耳に逆流しますのでプールで潜ったり、飛行機に乗ったりは治るまでだめです。

ガムをかむと耳管を開閉する筋肉の運動になり小児の滲出性中耳炎に良いといわれています。

滲出性中耳炎チューブ留置術後

滲出性中耳炎チューブ留置術後

右鼓膜に青いチューブが入っています。 鼓膜切開を繰り返しても治らない場合に入れて約1年間入れておきます。

めまい

めまいの症状
体や景色が動揺、回転する感じ
◆はきけ、冷や汗
頭痛、肩こり、腰痛

めまいとは何でしょうか?
体がぐるぐる回ったり、周りの景色が左右に動いて見えたりして吐き気や冷や汗、頭痛、肩こりなどが起こる症状です。
病気としてめまいを持っていない人でも二日酔になったときや、回転椅子にすわって一方向にしばらく回転した後急に回転を止めた後に周りの景色がぐるぐるまわり、同じ症状を経験することができます。これらは体の平衡バランスが取れなくなって起こります。
では体の平衡バランスはどのようにとっているのでしょうか?

体のバランスの取り方
体のバランスの取り方

私たちが体の平衡バランスをとる場合、周囲を目で見て自分が縦になっているか横になっているか静止しているのか動いているのかわかります。また、目 を閉じて何も見えない状態でも重力に対しての体の位置と加速度を感じることができます。加速度は三半規管、重力に対する感覚は耳石器というところで感じま す。また、皮膚や、関節にかかる振動や圧力でも重力や加速度でも感じます。これら視覚系、耳の前庭系、体の感覚である体知覚系、の信号が脳の中で作用し あって自動的に体の立ち直りを起こして二本足での歩行や起立を可能にしたり、動く物を自動的に目で追う反射などを行って体のバランスを保っています。

耳からくるめまいは三半規管や耳石器からまっすぐ立っているのに斜めになっているとか、止まっているのに動いているような誤った信号が脳 にはいって間違った立ち直り反射が起こり体がよろけ、眼球が動く物を追う反射が自動的に起こり止まっている物が動いて見えるようになってしまいます。
つまり、めまいとは、体のバランスをとるための反射が間違った情報によって混乱している状態といえます。
視覚的な異常信号で起こるめまいとしては、遊園地の斜めになった家に入ったとき起こる感覚や地震後に斜めに傾いた家に長期間住んでいた人が家の傾きを修理した後に起こった違和感などもあります。

耳の解剖
耳の解剖

耳の体の平衡バランスをとる前庭という場所は、内耳という所にあります。
耳の断面図で説明しますと、耳介から鼓膜までを外耳、鼓膜から前庭窓までを中耳、骨の中にある部分を内耳といいます。
内耳の中の半規管と耳石系がバランスをつかさどる平衡感覚器、聞こえを感じる蝸牛を聴覚器と呼びます。

平行感覚器
前庭器官:平衡感覚に対する受容器で側頭骨中にある
三半規管:回転加速度刺激を感じる
→前半規管
→後半規管
→外側半規管
耳石器:
重力に対する位置、直線加速度を感じる
→卵形嚢
→球形嚢

平衡感覚の受容器つまりセンサーの部分である三半規管は前、後、外の3個からなり、重力を感じる耳石器は卵形嚢、球形嚢の2つからなります。

三半規管
三半規管

三半規管

垂直半規管

垂直半規管

三半規管の構造は前、外、後の3個の半規管が空間の3平面に配置しています。
受容装置が膨大部というところです。
膨大部の中には感覚毛を持つ有毛細胞があり感覚毛にゼラチン状膨大部頂(クプラ)が乗っかっています。
頭部の回転により半規管内の内リンパ流が起こりクプラを変位させて感覚細胞に刺激を与え、頭部の回旋運動(回転加速度)を感じるのです。

球形嚢 卵形嚢の構造
球形嚢 卵形嚢の構造
三半規管と眼球運動の反射
三半規管と眼球運動の反射

左:本を左右に動かして読む 右:頭左右に動かして読む

ここで実際に三半規管の働きを確かめる実験をしてみましょう。

  1. まず、何か本を手にとって頭を固定したまま本を左右に動かして字を読んでみます。
  2. 次に手を動かさず、頭を左右に振って字を読んでみます。

どちらの方が簡単に字が読めるでしょうか?
頭を動かす方が簡単です。これは、三半規管が頭の回転を感じ反射的に眼球を頭の回転方向と逆方向に動かしているためです。
めまいでは、三半規管、耳石系から静止しているのに動いているかのような間違った信号が出ているために眼球が間違った反射運動を起こし、物が揺れてみえたり、間違った立ち直りの反射が起こりふらついてしまうのです。

めまい・末梢性と中枢性の違い
体や景色が動揺、回転する感じ
◆はきけ、冷や汗
頭痛、

めまいがすると皆さん、脳の出血、梗塞をまず心配されると思います。原因が、大脳、小脳、延髄にある場合を中枢性、内耳にある場合を末梢性と呼びます。
中枢性の場合は、意識障害、手足や顔面のしびれ感、麻痺などの運動障害が起こります。また、激しい頭痛が起こります。
これらがなければ末梢性と考えられます。

中枢性めまい
  • 脳梗塞、出血
  • 小脳梗塞、出血
  • 延髄梗塞、出血
中枢性は脳、小脳、延髄の梗塞、出血による物でCTやMRIで診断がつきます。
早期に脳外科での治療が必要です。
末梢性めまい
  • 三半規管
    →メニエル病
    →遅発性内リンパ水腫
  • 耳石系(球形嚢、卵形嚢)
    →良性発作性頭位性めまい
  • 前庭神経
    →前庭神経炎
末梢性の原因による物は命に関わることはありませんので緊急性は低いです。
メニエル病はめまいに耳鳴り、難聴をともない三半規管の内リンパ水腫で起こるといわれています。
遅発性内リンパ水腫も同じ原因なのですが、高度難聴が長期間つづいていて蝸牛の高度の障害に続発して起こる物です。
良性発作性頭位めまい症は耳石系の平衡砂が脱落して半規管に迷い込むことで起こるめまいですが、耳鳴りや難聴はありません。
めまいのうちもっとも頻度の高い物です。
前庭神経炎は三半規管や耳石系から脳につながる前庭神経の炎症で起こります。ずっと持続するひどいめまいが起こります。
耳鳴りや難聴はありません。
メニエル病

メニエル病は原因不明の物をいうが内リンパ水腫が原因といわれていて回転性めまい、耳鳴、低音の変動する難聴が特徴です。
30、40、50代の男性に多く発作はいったん改善しても数ヶ月か数年で反復します。
塩分、水分の取り過ぎ、ストレス、睡眠不足は内リンパの水ぶくれに悪影響を及ぼします。

良性発作性頭位性めまい

良性発作性頭位性めまい症は卵形嚢の耳石が脱落して三半規管に迷入することが原因です。
聴力正常で耳鳴りもありません。
2~3週間で自然治癒し予後良好です。
迷入するのは後半規管に最も多く次に外側半規管です。前半規管には卵形嚢との解剖学的な関係ですくないです。

前庭神経炎

前庭神経炎は卵形嚢、球形嚢から脳につながる前庭神経の炎症により激しいめまいを起こします。
聴力正常で2~3ヶ月続きますが自然に寛解し再発することはありません。

末梢性めまいの治療
◆内服治療
→ビタミン剤
→内耳循環改善剤
→浸透圧利尿剤(メニエル病)
◆点滴治療
→メイロン
浸透圧利尿剤
◆理学療法
→エプリー法

末梢性めまいは自然に徐々に改善していきますからしびれや麻痺、意識消失などの中枢性めまいの症状がなければ発作のひどいときは安静にしておき発作が治まってから医療機関を受診するようにしてください。
治療はビタミンB群、内耳の循環改善剤の内服やメニエル病の場合は浸透圧利尿剤の内服、点滴を行います。
良性発作性頭位めまい症については迷入した耳石を三半規管から卵形嚢にもどしてやるエプリー法などの理学療法があります。
迷入場所は後半規管が多いのですが、耳石を元の場所に戻そうとして後半規管から前半規管や、外側半規管に再迷入してどこに迷入したか訳のわからないめまいになることあります。