鼻に関するページ

鼻の話

鼻の主な病気として鼻炎、副鼻腔炎、鼻出血にわけて説明します。

  1. 鼻炎
  2. 副鼻腔炎
  3. 鼻出血

鼻炎の分類(鼻アレルギー診療ガイドライン2024より

鼻炎とは鼻水、鼻づまりの症状がある病態ですが、鼻アレルギー診療ガイドラインでは原因によってこのように分類されています。
主に日常生活で良く起こるのは急性鼻炎(鼻風邪)とアレルギー性鼻炎の一つの花粉症です。花粉症と急性鼻炎について先ず説明します。
1.感染性
 a)急性鼻炎、 b)慢性鼻炎、 c)ウイルス性、 d)細菌性、 e)その他
2.アレルギー性

a通年性アレルギー性鼻炎、 b季節性アレルギー性鼻炎、 clocal allergic rhinitisLAR

  d職業性アレルギー性鼻炎 
3.非アレルギー性
 
a)血管運動性鼻炎、 b)好酸球増多性鼻炎、 c)薬物性鼻炎、 d)職業性非アレルギー性鼻炎、
 e
)老人性鼻炎、f)味覚性鼻炎、 g)萎縮性鼻炎、 h)妊娠性鼻炎、 i)その他

花粉症と感染症の鑑別

 花粉症は花粉によるアレルギー、急性鼻炎はウイルス感染です。どちらも発症時期も春、秋などでくしゃみや鼻水等の症状も似ています。急性鼻炎では、発熱を伴いウイルスに感染した鼻の粘膜細胞がはがれおちるので回復期には水様性の鼻水が膿のよう鼻漏になります。ただれた粘膜は温度や乾燥、花粉などにも過敏になりやすいので花粉症の合併や増悪も起こしやすくなります。治療は抗ヒスタミン剤投与などですがどちらもこじれてくると後に述べる急性副鼻腔炎を引き起こすと抗生剤が必要になります。


花粉症急性鼻炎
病因アレルギーライノウィルスなど
発症花粉開花期風邪
症状くしゃみ、鼻水、鼻閉、目や鼻のかゆみくしゃみ、鼻水、鼻閉、頭痛、乾燥感
鼻漏多量、水様性多量 水様性→粘濃性、薄利上皮細胞
鼻鏡所見発赤、腫脹、水様性鼻漏発赤、腫脹、浮腫
全身症状寒気、頭痛頭痛、咽頭痛、発熱、全身倦怠感
経過開花期間中1-2週間、春と秋
随伴症目、咽頭、皮膚症状副鼻腔炎、咽喉頭炎

アレルギー性鼻炎

 花粉症というとスギ花粉の時期に目が痒くなって鼻水がでるというスギ花粉によるアレルギー性結膜炎とアレルギー性鼻炎が思い浮かびます。アレルギー性鼻炎には、花粉症以外にもハウスダストとダニによる通年性鼻炎もあります。

●I型アレルギー疾患
●三徴

  • くしゃみ
  • 水性鼻漏
  • 鼻閉
●季節性 花粉
●通年性 ハウスダスト ダニ

アレルギー性鼻炎の診断

 アレルギー性鼻炎はIgE抗体によるI型アレルギー疾患でくしゃみ、鼻水、鼻づまりが主な症状です。診断は鼻内所見と問診、検査のうち2つあれば確定します。

鼻内所見

  • 水様性鼻漏
  • 粘膜腫脹
  • 粘膜の色 蒼白 発赤

●問診

  • 花粉症の時期に症状
  • 花粉に誘発

●検査 いずれか二つ

  • IgE抗体検査 皮膚検査
  • 鼻誘発テスト
  • 鼻汁中好酸球

アレルギー性鼻炎と非アレルギー性非感染性鼻炎の鑑別

くしゃみ、鼻水、鼻閉を主な症状として血液中に花粉やハウスダストの抗体があり鼻水の中にアレルギーを起こす好酸球があれば花粉症、通年性鼻炎と診断がつきますが、それらのない鼻の粘膜内のIgEにだけ反応がでる局所性アレルギー性鼻炎という鼻炎も最近提唱されておりアレルギー性の鼻炎の中での鑑別診断も困難なものです。他に非アレルギー性の好酸球性鼻炎や血管運動性鼻炎もあります。アレルギー性鼻炎の治療で現在最も使用されている眠気、痙攣、尿閉、眼圧上昇などの副作用がない第2世代抗ヒスタミン剤が無効な場合は非アレルギー性の好酸球性鼻炎や血管運動性鼻炎の可能性があります。これらには副作用の抗コリン作用のある第1世代の抗ヒスタミン剤が有効です。

アレルギー性


花粉症通年性アレルギー性鼻炎Local alleregic rhinitis
発症年齢青年
10-20歳代
小児
3-10歳代
不明
♂<♀♂>♀不明
鼻症状典型典型非典型
他のアレルギー合併多い多い眠症状少ない
鼻汁中好酸玉
皮膚テスト、血中特異的IgE
鼻粘膜IgE
鼻誘発試験
鼻過敏性亢進亢進やや亢進
頻度50%60%不明

非アレルギー性


好酸球増多性鼻炎血管運動性鼻炎
発症年齢成人成人
♂≦♀♂≦♀
鼻症状非典型非典型
他のアレルギー合併眠症状少ない眠症状少ない
鼻汁中好酸玉
皮膚テスト、血中特異的IgE
鼻粘膜IgE
鼻誘発試験
鼻過敏性やや亢進やや亢進
頻度2%7%

日本の森林面積

日本の森林面積


森林樹木別面積

 スギ、ヒノキの花粉症が増えてきたのは戦後の植林制作で植林された人工林のスギ、ヒノキが花粉飛散樹齢の25-45年前後を迎えてきたためです。日本の総面積の約66%の1000万㏊が森林でそのうち43%の45万㏊がスギ、25%の260万ヘクタールがヒノキで占められています。
 花粉飛散量の増大と共にスギ花粉抗体(IgE)の感作率も上昇し有病率も上昇してきました。しかし、樹勢が衰えると花粉飛散もすくなくなるためスギ花粉症は2030年がピークで2050年には終息すると予想されています。ヒノキに関してはスギよりも植林時期が遅く現在の樹齢も若いためその後も続くと
森林樹木別面積


アレルギー性鼻炎有病率増加

花粉の増加にともなって花粉症全体の有病率は1998年から2019年までで花粉症全体で19.6から42.5%の増加しています。スギ花粉症も16.2から38.8%増加しています。
アレルギー性鼻炎全体も29.8から49.2%へ増加、通年性アレルギー性鼻炎も18.7から24.5%に増加しています。鼻炎のみならず喘息やアトピー性皮膚炎も含めてアレルギー疾患自体が増加傾向にあります。
アレルギー性鼻炎有病率増加


年齢層別有病率

年齢別有病率では20歳代までは通年性アレルギー性鼻炎のほうがスギ花粉症よりも多いですが30歳以降はスギ花粉症のほうが多くなり通年性鼻炎は徐々に減少していきます。
スギ花粉も60歳代になるとスギに対するIgE抗体の陽性率が減少し有病率が低下し70歳代以降はIgE自体の減少により有病率が低下します。
年齢層別有病率


治療

治療として最善のことは花粉を吸い込まないこと予防です。

  • 予防 
  • 薬物治療
  • 減感作療法
  • 手術療法

予防(抗原の除去と回避)

●ダニ

  • 清掃 
  • 畳の上にカーペットをひかない事
  • 夏期の除湿 冬期の加湿は50%未満にする事
  • 防ダニフトンカバーの使用
  • 空気清浄機をリビング、寝室に使用
  • ベッドで寝て舞い上がるホコリを吸わない事

●花粉

  • マスク、メガネ使用
  • 空気清浄機
  • 花粉の飛散する時間帯(昼間)を避け午前中か日没後に外出

薬物治療

 第2世代抗ヒスタミン薬とは初期の第1世代抗ヒスタミン薬の副作用である眠気、痙攣誘発、尿閉、眼圧上昇などの副作用である抗コリン作用をなくした抗ヒスタミン薬で現在の治療の主流です。主にくしゃみ、鼻水に良く効きます。副作用は眠気が起こる場合があります。

 点鼻ステロイド薬はくしゃみ、鼻水、鼻閉のすべてに有効です。喘息では妊娠中の喘息発作の治療のためにステロイド吸入薬が推奨されており母体、胎児に影響はないとされています。

 点鼻ステロイドも同様に妊娠中使用可能です。副作用は刺激症状でくしゃみ、鼻水発作がおこったり鼻出血等です。

 抗ロイコトリエン薬は眠気がなく鼻閉に有効で喘息合併鼻炎に喘息とアレルギー性鼻炎両方に効きます。約30%の人がnon-responderといって薬が効かないところと薬価が高いのがネックです。副作用として多いのは血尿、腹痛等です。 

 遊離抑制薬はインタール、リザベン、アレギサールが代表的な薬です。アレルギーを起こすヒスタミンやロイコトリエンを貯留して抗原侵入時に破裂して放出する肥満細胞の膜を丈夫にしてアレルギー症状を抑える薬剤です。安全性が高く妊娠中にもつかえ副作用も少ないのですが小児には有効ですが成人には効果があまりありません。

 Th2サイトカイン阻害剤とは抗原侵入時に抗原特異的IgEをつくるTリンパ球を活性化させるTh2サイトカインを阻害する薬剤でIgEの量を減少させすべてのアレルギー反応を抑えます。効果発現まで2週間以上かかる事と副作用では特徴的なのりの佃煮のような口臭が起こります。鼻炎だけでなく過敏性膀胱やのどのいがいがしてでる咳などにも有効です。

 抗PCGT2XA2薬はバイナスという薬剤です。鼻閉にだけ有効でくしゃみや鼻水には無効です。喘息にも有効ですが、3週間以上内服しないと効果がです。出血傾向がでやすく月経時出血量が多くなるなど若干使用しにくい薬です。第2世代抗ヒスタミン薬・血管収縮薬配合剤はディレグラあるいはプソフェキという薬剤で、アレグラ(フェキソフェナジン)とプソイドエフェドリンの合剤です。鼻閉には極めて有効ですが、食前内服なのと、血管系に作用するので動悸や血圧上昇、頭痛などの副作用の可能性があります。

抗IgE抗体については後ほど詳しく説明します。



  • 第2世代抗ヒスタミン薬
  • 点鼻ステロイド薬
  • 抗ロイコトリエン薬(モンテルカストⓇ、キプレスⓇ、オノンⓇ,プランルカストⓇ)
  • 遊離抑制薬(リザベンⓇ、インタールⓇ)
  • Th2サイトカイン阻害薬(アイピーディⓇ)
  • 抗プロスタグランジンD2トロンボキサンA薬(抗PCGD2TXA2薬)(バイナスⓇ)
  • 第2世代抗ヒスタミン薬・血管収縮薬配合剤(ディレグラⓇ)
  • 抗IgE抗体薬(注射薬:ゾレアⓇ)

花粉症治療ガイドライン

 2013年アレルギー性鼻炎治療ガイドラインによる花粉症の治療指針です。鼻閉型には抗LT薬や抗PCGD2抗TXA2薬の併用が勧められています。治療の主流は第2世代抗ヒスタミン薬と点鼻ステロイドです。
重症度 初期療法 軽症 中等症 重症
病型     くしゃみ、鼻漏型 鼻閉型、充全型 くしゃみ、鼻漏型
鼻閉型、充全型
1 第二世代抗ヒスタミン薬





2 点鼻ステロイド




3 抗LT薬




4 遊離抑制薬





5 Th2サイトカイン阻害薬





6 抗PGD2抗TXA2薬




2世代抗ヒスタミン薬・血管収縮薬配合剤法



治療法
1or1+2 1+2 1+2+(3or6), 2+7 1+2 1+2+(3or6), 2+7
治療法(2)



抗IgE抗体 点鼻血管収縮薬、経口ステロイド、抗IgE抗体

通年性アレルギー性鼻炎の治療ガイドライン

 通年性アレルギー性鼻炎の治療ガイドラインですが、花粉症と異なり点鼻ステロイドが中心でくしゃみ、鼻水型は第2世代抗ヒスタミン薬、鼻閉型は抗LT薬や抗PCGD2抗TXA2薬が推奨です。
重症度 軽症 中等症 重症
病型   くしゃみ、鼻漏型 鼻閉型、充全型 くしゃみ、鼻漏型
鼻閉型、充全型
1 第二世代抗ヒスタミン薬





2 点鼻ステロイド ○ 


3 抗LT薬    
 
4 遊離抑制薬

     
5 Th2サイトカイン阻害薬
 
   
6 抗PGD2抗TXA2薬    
 
2世代抗ヒスタミン薬・血管収縮薬配合剤法      
治療法 どれか1つ 1+2(症状に応じて併用) 2+(3or4or5) 1+2 2+(3or6), 2+7

スギ花粉症の治療

 スギ花粉症の治療は初期、導入、維持療法の3ステップで行います。初期療法とは予防ですが薬剤の予防投与は保険診療では認められず自費診療になるためガイドラインでは初期療法と命名されていると考えられます。導入療法は早期に症状をとるために第2世代抗ヒスタミン薬、経鼻ステロイド薬、抗LT薬の3剤を同時投与して症状改善後に2剤、1剤と減薬して維持療法とします。

●初期療法

  • 花粉飛散開始1週間前からか直前から治療開始 症例ごとに例年の症状の強さから薬剤選択

導入療法

  • 症状が強くなってから治療開始
  • 病型、重症度による治療、強めの治療から開始しステップダウンしていく

維持療法

  • よくなった症状を維持するため初期治療、導入療法でステップダウンした薬剤を花粉終了まで続行

初期療法

 花粉飛散開始日は例年2月10日頃ですが花粉飛散開始日の定義がダーラム式花粉回収機で1平方センチあたり1個の花粉が連続した日ですので2-3週間前に花粉発観測日があり1平方センチあたり0.2-0.3個観測されます。ということは1平方メートルあたり2000-3000個ありますので結構な花粉が飛んでおり花粉飛散開始日には花粉症の15%の人が発症しています。そのため花粉飛散開始日の2-3週間前の1月下旬から治療開始する事は有効です。

  • 花粉飛散開始日とはダーラム型花粉回収機で1平方センチあたり1個の花粉が連続した日
  • 1平方センチあたり1個:1平方メートルあたり1万個
  • 花粉飛散開始日の2-3週間前に花粉初観測日があり1平方センチあたり0.2-0.3個観測
  • 1平方メートルあたり2000-3000個
  • 飛散開始日には15%の患者が発症している

減感作療法(免疫療法)

 減感作療法は現在は免疫療法と呼ばれています。抗ヒスタミン薬の出現前から行われていましたが、即効性がなく全身的な副作用があり患者、医療機関とも負担になり使用が簡単で即効性のある抗ヒスタミン薬の開発後は急速に廃れてきました。しかし、抗ヒスタミン薬では症状は治まっても自然治癒は望めませんが、免疫療法では3年以上の継続で皮下免疫で80%、舌下免疫で70%の自然治癒が期待できます。舌下免疫では皮下免疫で250万に1回起こると言われるアナフィラキシーによる死亡もないため、自然経過での治癒が期待でき、重篤な副作用のない舌下免疫療法に関心が高まっています。

  • 皮下免疫療法
  • 舌下免疫療法

スギ舌下免疫療法(シダキュアⓇ)

 シダキュアはスギ花粉を材料に製剤された減感作療法の薬剤です。スギ花粉症があり,5歳以上で、投与前のスギ特異的IgE抗体陽性(RASTにてクラス2以上)であれば適応になります。スギ花粉飛散時期をはずして治療を開始する必要があります。1日1回の投薬で、治療開始後3ヶ月から半年経過して効果が現れると言われています。治療期間は最低3年で5年間治療すれば,治療をやめても7-8年は効果が持続します。副作用としては、致死的ものはないが、舌や口腔内の浮腫、かゆみなどは5%以上にあります。治療効果は20%が症状消失、60%が症状軽減、20%が不変です。

  • 3年以上継続で、症状消失20%、軽減60%、不変他20%
  • 新規抗原による感作や喘息の発症は抑制
  • 舌、口内浮腫、口のかゆみなどの副作用はあるが致死的副作用なし
  • 原則5歳以上,スギ特異的IgE抗体クラス2以上。
  • 重症喘息患者、妊婦さんは治療不可
  • スギ花粉飛散期間は治療開始不可

シダキュア治療スケジュール

 まずはスギの抗体検査(RAST)が陽性(クラス2以上)である事が必須です。


  • 投与初日:午前中来院、薬剤師の指導にて院内でシダキュア2000ユニット舌下投与。30分程度の経過観察後医師の診察(副作用の有無チェック)
  • 投与開始7日目まで:シダキュア2000ユニット舌下。
  • 投与開始8日目から14日目:シダキュア5000ユニット舌下。増量直後の副作用に注意してください
  • 投与開始後14日までに:再診して医師と面談のうえ、問題なければ長期処方が受けられます

ダニ舌下免疫療法(ミティキュアⓇ、アシテアⓇ)

 ミティキュア、アシテアはダニエキスを材料に製剤された減感作療法の薬剤です。ダニアレルギーがあり,5歳以上で、投与前のダニ特異的IgE抗体陽性(RASTにてクラス2以上)であれば適応になります。両薬剤の違いはダニの抗原量で、アシテアの方が5.7倍抗原量が多いです。そのため、最初はミティキュアで開始することが多く、ミティキュアで効果不十分の場合、アシテアが試されます。スギ花粉症と違っていつでも開始できます。1日1回の投薬で、治療開始後3ヶ月から半年経過して効果が現れると言われています。治療期間は最低3年で5年間治療すれば,治療をやめても7-8年は効果が持続します。副作用としては、致死的ものはないが、舌や口腔内の浮腫、かゆみなどは5%以上にあります。治療効果は20%が症状消失、60%が症状軽減、20%が不変です。

  • 3年以上継続で、症状消失20%、軽減60%、不変他20%
  • 新規抗原による感作や喘息の発症は抑制
  • 舌、口内浮腫、口のかゆみなどの副作用はあるが致死的副作用なし
  • 原則5歳以上,ダニ特異的IgE抗体クラス2以上。
  • 重症喘息患者、妊婦さんは治療不可
  • いつでも開始可能

ミティキュア、アシテア治療スケジュール

 まずはダニの抗体検査(RAST)が陽性(クラス2以上)である事が必須です。


  • 投与初日:午前中来院、薬剤師の指導にて院内でミティキュア3300ユニットあるいはアシテア100単位舌下投与。30分程度の経過観察後医師の診察(副作用の有無チェック)
  • 投与開始7日目まで:ミティキュア3300ユニットあるいはアシテア100単位舌下。
  • 投与開始8日目から14日目:ミティキュア10000ユニットあるいはアシテア300単位舌下。増量直後の副作用に注意してください
  • 投与開始後14日までに:再診して医師と面談のうえ、問題なければ長期処方が受けられます

手術療法

 内服治療や点鼻薬にて鼻閉の制御が困難な場合、手術治療も選択肢の一つとなります。これらは鼻閉改善手術と言われます。代表的なものは鼻中隔矯正術や粘膜下下鼻甲介切除術ですが、これらは手術室などの設備が必要ですので、当院では日帰り手術可能なラジオ波による下鼻甲介焼灼術を施行しています。


鼻閉改善手術

○鼻中隔矯正術/粘膜下下鼻甲介骨切除術(+後鼻神経切断術)

○鼻腔粘膜焼灼術

  • レーザー(炭酸ガス、半導体)
  • アルゴンプラズマ
  • ラジオ波


鼻の構造

これは、鼻の中の構造の略図です。鼻の中には鼻甲介といって呼吸する空気が鼻の中で渦を巻かないようにまっすぐに通るようにする棚があります。この一番下の下鼻甲介がアレルギーで腫れ上がりますので鼻腔粘膜焼灼術はこれを対象に行います。
鼻甲介


ラジオ波による下鼻甲介焼灼術

当院でのラジオ波のジェネレーターと針型の下鼻甲介刺入プローブ
アルゴン焼灼術1

      ジェネレーター(エルマン社・サージトロン)

アルゴン焼灼術2

       下鼻甲介刺入用プローブ

手術スケジュール

① まずは鼻腔内を局所麻酔の入ったガーゼで表面麻酔します(10-15分留置します)

② 局所麻酔薬を下鼻甲介に局所注射します

③ 2本刺入針のついたプローブを数カ所下鼻甲介に刺して、ラジオ波で焼灼します。

  両鼻施行しても10分程度です

④ 出血があれば止血ガーゼを挿入し、15分ほど経過観察します。

⑤ 経過観察後、医師の診察のあと帰宅可能です

鼻閉改善率(Means Cら2015年の論文より)

本手技による鼻閉の改善率は77%(著明改善21%、改善33%、やや改善23%)と報告されています。
症状別改善率

抗IgE抗体薬(ゾレアⓇ

花粉症は、樹状細胞が花粉を感知することでB細胞が刺激され、B細胞から大量に放出されたIgE(E型免疫グロブリン)が肥満細胞に結合することで放出されるヒスタミンやロイコトリエンによって引き起こされます。従来の花粉症の薬剤はこのヒスタミンやロイコトリエンを抑制することで,症状を軽減させていました。昨今の生物学的製剤の進歩により、このIgEを直接ブロックする抗体薬(抗IgE抗体)、オマリズマブ(商品名ゾレア)が開発されました。元々重症喘息の治療薬として使用されてましたが、2020年の花粉症シーズンから重症花粉症患者さんに使用可能となりました。非常に効果の強い薬剤ですが、その使用には下記の通りたくさんの条件があります。


●12歳以上の重症花粉症の患者さんに適応

●2週間あるいは4週間に一度の皮下注射薬であるが、花粉症では在宅注射が認められておらず、病院での注射が必要

●スギ花粉症のみの適応なので、治療可能な期間は2月から4月(地域による)のみ

●そのシーズンのはじめに従来の治療(抗ヒスタミンなどの)を行い、無効であったことを確認しないといけない

●治療前の血液のIgEの量と体重で注射の頻度と用量が決まるので、治療前の採血が必須

●高価な薬剤(150mgのシリンジで21323円,ペン型はもう少し高価)であり、体重やIgEの量で必要な用量が変わるので、薬剤価格のみで1ヶ月あたり11655円から170584円(3割負担で3497円から51176円)となる

症状別改善率

無花粉スギ

 スギ花粉が全国的に広がり有病率も増加傾向にあることから無花粉スギの開発が進められています。富山県で見つかった無花粉スギから品種改良された「はるよこい」が開発されました。
 当初は無花粉のため挿し木でしか増産できなかったのですが、現在では種子から育てられる品種もできています。しかし、スギの植林面積は全国460万㏊で1㏊に5000本の苗が必要ですし、毎年1万㏊植え替えても460年かかるので現実的には現在植えられているスギが花粉飛散年齢をおえてスギ花粉が自然終息する2050年まで待つしかないと考えられます。


  • 富山県で発見された無花粉スギから「はるよこい」が開発されたが挿し木でしか増産できず、その後種子で増産できる品種改良
  • スギ植林面積 全国460万ヘクタール
  • 昨年100ヘクタール植え替え
  • 1ヘクタールに5000本植樹
  • 毎年1万ヘクタール植え替えても460年かかるし苗木が5000万本必要
  • 樹齢25-45年のスギが活発に花粉飛散
  • 2030年ピーク 2050年にスギ花粉終息

最近発売になった処方箋薬と同じ成分の一般用医薬品(OTC)

※OTC とは Over the counterの略です。

 代表的なスイッチOTCとそのジェネリック品と医院で初診で処方だけをした場合の自己負担額を以下のように計算してみました。医院で再診の場合はもっと安くなりますし、ネブライザー等の処置や検査をするともっと高くなります。昨年の薬価で計算していますので完全にこの通りにはなりませんのでご了承ください。
アレジオン10

6日分 \1280 12日分\1980

ストナリニZ

10日分 \1880

アレグラFX

7日分 \1380 14日分\1980

OTC ジェネリック医薬品と先発品との自己負担額比較

アレグラ

 アレグラは1日薬価は高価ですがスイッチOTCのアレグラFXは安価に設定されています。
3週間以上の長期投与ではジェネリックのフェキソフェナジンもアレグラも医院に受診して処方してもらった方が自己負担が少なくなります。アレグラとフェキソフェナジンで医院初診時の自己負担額が違うのはジェネリックを処方すると処方料に後発品加算が算定されるためです。
 金額については保険改定ごとに薬価も処方せん料も変更さえますし検査や処置でことなってきますのでこの通りにはなりませんので参考にとどめておいてください。
アレグラ(1日薬価150)7日14日21日28日56日
医院初診時\1,030\1,110
\1,110
\1,110
\1,110
院外薬局\750\1,150\1,490\1,840\3,120
合計\1,780\2,260\2,600\2,950\4,230






アレグラFX(197or141円)\1,380\1,980\3,360\3,980\7,920






フェキソフェナジン(106円)7日14日21日28日56日
医院初診時
\1,040\1,120\1,120\1,120\1,120
院外薬局
\660\970\1,220\1,470\2,380
合計
\1,700\2,090\2,340\2,590\3,500

ジルテック

ジルテックはジェネリックのセチリジンが安価に設定されています。スイッチOTCはコストパフォーマンス悪いです。
ジルテック10(110円)10日14日20日30日60日
医院初診時\1,030\1,110
\1,110
\1,110
\1,110
院外薬局\810\990\1,210\1,570\2,580
合計\1,840\2,100\2,320\2,680\3,690






ストナリニZ(188円)\1,880
\3,760\5,640\11,280






セチリジン10(64円)10日14日20日30日60日
医院初診時
\1,040\1,120\1,120\1,120\1,120
院外薬局
\670\790\930
\1,150\1,750
合計
\1,710\1,910\2,050\2,270\2,870

アレジオン

 アレジオンについてはスイッチOTCのアレジオン10は力価10mgの製品で医院で処方する物はアレジオン20mgですので効果的には劣ります。
アレジオン10(110円)6日12日24日48日60日
医院初診時\1,030\1,030
\1,110
\1,110
\1,110
院外薬局\620
\890
\1,360
\2,180
\2,570
合計\1,650\1,920\2,470\3,290\3,680






アレジオン10(61円)\1,280\2,560\5,120\10,240\12,800






アルピード10(70円)6日12日24日48日60日
医院初診時
\1,040\1,040\1,120\1,120\1,120
院外薬局
\550\760\1,080\1,610\1,860
合計
\1,590\1,800\2,200\2,730\2,980

副鼻腔炎と鼻出血について

※原稿制作中